誰もが通る道だからこそ。真のダイバーシティを「来た道 ゆく道」から考える

幸齢者

現代のビジネスシーンにおいて、**「ダイバーシティ(多様性)」**という言葉を聞かない日はありません。多くの企業が競争力を高めるための戦略として、女性の活躍推進や外国人の登用に取り組んでいます。

しかし、急速な少子高齢化が進む日本において、私たちが今改めて向き合うべき重要なテーマがあります。それが**「年齢・世代のダイバーシティ」**です。

今回は、ある古くからの言葉をヒントに、組織や人間関係におけるダイバーシティのあり方を深掘りしてみましょう。

「上から目線」を外してみる

皆さんは、こんな言葉を耳にしたことはないでしょうか。

「子供叱るな 来た道だ、年寄り笑うな ゆく道だ」

私たちはつい、自分が歩んできた未熟な過去を棚に上げ、今の若者に対して「最近の若い者は……」と感じてしまいがちです。一方で、若いうちは自分の将来を想像し、高齢者の立場に立って考えることは難しいものです。

長く生き、経験や地位、財産を積み重ねてくると、それがさも偉いことであるかのように錯覚し、“上から目線”で他者を捉えてしまうことがあります。しかし、時間はすべての人に平等に流れています。若い人も年寄りも「1時間は1時間」であり、誰もがかつては若者であり、いずれは高齢者になるのです。

「今」を共有するフィフティ・フィフティの関係

資料の中では、この「来た道 ゆく道」という言葉の続きが紹介されています。

「来た道 ゆく道二人旅、これから通る今日の道、通り直しのできぬ道」

ここでいう「二人旅」とは、若者と年寄りの関係とも捉えられます。 世代が違えど、同じ「今」という時を生きているという点において、私たちの立ち位置は**「フィフティ・フィフティ」**です。

人生は一度きりで、後戻りはできません。だからこそ、異なる世代がお互いを「自分自身のいつかの姿(あるいはかつての姿)」として理解し合うことが、関係性を深め、組織や人生をより有意義にする鍵となります。

多様性を広げる「言い換え」の視点

この「来た道 ゆく道」の考え方は、年齢以外にも応用できます。

  • 技術の習熟度: 「下手を笑うな 来た道だ、上手を妬むな ゆく道だ」
  • キャリアの長さ: 「新参笑うな 来た道だ、ベテラン妬むな ゆく道だ」

今は下手でも、続けていれば上手くなる。今は新人でも、いつかはベテランとして語れる日が来る。 相手の今の状況を「誰もが通り、あるいは通る道」として受け入れること。 これこそが、ダイバーシティの本質的な精神ではないでしょうか。

おわりに

ダイバーシティとは、単に異なる属性の人を集めることではありません。 「自分も通ってきた道だ」「自分もいつか通る道だ」という想像力を持ち、お互いを尊重し合うこと。そして、二度と戻れない「今日の道」を共に歩む仲間として、対等な関係を築くこと。

失敗を笑い飛ばし、未来を不安に思いすぎず、今この時を大切に分かち合う。そんな心の持ちようが、より豊かで多様な組織をつくる第一歩になるはずです。


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